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2016.05.11

エンディングノートは「心」と「人」と「物」の棚卸

エンディングノートは人生設計を考える計画書

エンディングノートは、その名称から連想されるような単なる「死の準備ノート」ではありません。
人生の終わりを見据え、自分にとって大切な信条や価値観は何かを確かめ、家庭や職場そしてプライベートな人間関係の中で、残された人生の課題は何かなど、これから取り組むべき人生設計を考えるための計画書です。
そのためには、まず、自分が活用することできる様々な資源を把握する必要があります。
これがエンディングノートの重要な機能の一つである「心」と「人」と「物」の棚卸です。

エンディングノートの機能「心」の棚卸

「心」の棚卸とは、これまでの生き方、大切な信条や価値観、そして家族や友人との絆を見つめ直し、過去の自分の人生を再評価することです。
過去の事実は、変えることはできませんが、過去から学び、過去の意味は変えることができます。
すなわち、家族の生活や仕事への使命感のために、今まで気づかなかった人生の重要な意味や価値観を見い出すことができるかもしれないのです。
この内省的な作業は、ライフレビュー(人生の回想)といわれます。
とくに、現役時代の華やかなビジネスライフを過ごした人は、現役時代と第一線を退いた老後の生活との間に大きなギャップができるので、この喪失感を乗り越えるためにも、このライフレビューが必要になることがあります。
具体的には、現在の環境や人生のステージに合わせて過去の価値観や人生観を再構築し、新たな人生の目的、目標、課題などを設定します。
そして「死」という最終到達点を踏まえて将来の生活にかかわる、終の棲家としての高齢者住宅、老化の進行にあわせた医療や介護、そして人生の最期のとき、避けることができないターミナルケアに焦点を合わせて行くわけのです。
 

エンディングノートの機能「人」の棚卸

「人」の棚卸とは、家族や親戚、親しい友人など、幼年期から壮年期まで人生のステージを支えてくれた人たちや、これから将来に向けて大きな助けとなる人的資源を確認することです。
そして、この作業を通して、これまで自分を成長させてくれた周りの人たちに対して“感謝の気持ち”が持てることでしょう。
ここで注意したいのが、エンディングノートの住所欄は、訃報の通知先リストではありまでん。
友達の名前を記入するという行為によって、その友達が自分にとって大切な人であることを再認識し、今後、その人に対して自分から積極的な行動が取れるようになることが重要なのです。
「人間は、一人で生きているのではなく、人の間に生きているのです。
大切なのは、マルティン・ブーバーが言う、「われ―なんじ(相互関係)」、すなわち「1・5人称」の関係性です。
「われ―それ(損得関係)」の人間関係を棚卸しても不良在庫を数えるようなもので、これからの人生の支えにはなりません。
いざ、エンディングノートに友達の名前を書こうとしたき、仕事中心の人生を過ごした人は、あまりにも親友と呼べる人が少ないことに驚くかもしれません。
 

エンディングノートの機能「物」の棚卸

「物」の棚卸とは、最初に、老後資金となる経済的価値がある財産を整理して記入します。
銀行口座は、年金や配当金の振込、ローンや保険料の支払いなど、銀行口座の使用目的も明確に示し、誰が見てもお金の流れが分かるようにします。
その次、仏壇やお墓のような祭祀財産を今後どうするのか、また、形見分けの対象となる思い出の品、さらに、高齢者住宅などの入居を考える場合、生前整理の対象となる生活用品の処分方法も考慮します。
ここで注意したいのが、隠れた財産や負債です。隠れたプラスの財産としては、生命保険など本人しか把握していない財産。隠れたマイナスの財産としては、連帯保証などがあります。
不動産は、一見、プラスの財産に見えますが、例えば、中古マンションのように、売却先が見つからない、また賃貸に適さない物件は、税金や管理費用が掛かり、準マイナスの財産、「負動産」となるかもしれません。
さらに、普段付き合いのない兄弟が事業家の場合は、倒産のリスクがないか、経営状態にも注意することも必要でしょう。
そして、ここで重要なのが、柳田邦男氏が提唱する「2・5人称の視点」を持った金融・保険などの専門家や専門機関のアドバイスなのです。

 

素晴らしい人生を旅する飛行機を創り上げる

「心」と「人」と「物」の棚卸は、人生を旅する飛行機に譬えることができます。
「心」とは、飛行機の操縦席です。人生という航空旅行を航路図や経験、管制塔のアドバイスで進みます。
「人」とは、飛行機の機体です。
自分を守り支えてくれる人的ネットワークです。
そして、「物」とは、ジェットエンジンです。
老後のすべての問題には、経済的要因が関係してきます。
さらに、飛行機の制御システムにあたるのが「本人・家族・専門家の三位一体モデル」です。
三位一体モデルによって、老後の生活に必要なサービス提供者を決めて行くのです。
だから、エンディングワークとは、人生を旅する素晴らしい飛行機を創り上げることなのではないでしょうか。
エンディングノートは、「死の準備ノート」ではありません。
人生の最期の瞬間まで生き抜くための人生の航路図ともいえるのです。

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