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2016.08.01

家族葬とは?

事前相談の大半は「家族葬」を希望する時代

葬儀の事前相談が当たり前の時代となりました。
一昔前は、最愛の人が亡くなる前から、その人のための葬儀を準備することには、強い抵抗感があったと思います。
しかし、現在、医療技術が進歩し、ある程度、死期が予測できる時代となり、また、患者の自己決定権が重視され、インフォームド・コンセント(十分な説明を受けた上での同意)やセカンド・オピニオン(主治医意以外の医師による第二の意見)、さらには、アドバンス・ディレクティブ(事前指示)という考え方が広がる中で、「死の告知」が医者の義務となったように思います。
その結果、患者本人だけでなく、家族が最愛の人が迎える“死”の現実を受け容れ、葬儀の事前相談の一般化につながっているように思えます。
そして、驚くことには、現在、葬儀の事前相談の大半は、「家族葬」を希望する時代となっているのです。

「家族葬」の定義とは?

「家族葬」という言葉、平成12年(2000)頃から、ある葬儀社が行った“小規模な葬儀を求める”消費者ニーズを捉えた広告戦略によって世間で認知されるようになりました。
そして、この「家族葬」という葬儀のブランドがインターネットの普及に後押しされる形で広まったのです。
それまでは、家族だけで行う葬儀は「密葬」とよばれ、経営者や著名人のように、後日「本葬」を控えている場合を除き、「死」を広く告知できない事情がある葬儀というマイナスイメージが強かったのです。
しかし、親しみのある「家族葬」という造語によって、これが家族主体の理想的な葬儀というプラスのイメージに変換されたのです。
そして、この小規模な葬儀を象徴する「家族葬」という言葉だけがひとり歩きしたため、家族2~3人から親族や親しい友人を含めた50人を超える規模までの葬儀を指す、幅広いものとなったのです。
「家族葬」とは、特別な事情がない限り、家族主体で親族や親しい友人などを招き、参列者を限定した小中規模の葬儀と考えることができると思います。
 

葬儀の個性化と「家族葬」が結びつく

日本人のライフスタイルの変化によって、葬儀の会場が“自宅”から“葬儀会館”へと移行したことも「家族葬」の普及につながっています。
なぜらな、自宅で行う葬儀では、通常、地域社会とのお付き合いや地域の葬儀習俗の無視することが難しいからです。
さらに「家族葬」は、家族を中心に故人をよく知る友人だけが集まるので、会葬者への気遣いや世間体を気にせず、故人との最後のお別れの時間をゆっくりと過ごせることができ、また、長引く景気停滞の中、広い式場スペースを必要とせず、多くの会葬者に関わる費用も削減できるというメリット等が、「家族葬」を推進する葬儀社によって強調されたのです。
実は、「家族葬」が出現する前から、葬儀は個性化の傾向にありました。
デザイン性の高い生花祭壇で故人の人柄や人生のエピソードを表現したり、故人が好きだった音楽を流したり故人が偲ばれる映像をスクリーンに映し出したり、遺品を展示する無宗教的な要素が宗教儀礼を中心とした伝統的な葬儀に付加されていたのです。
なぜ、このような“演出”が必要になったと言えば、家族の職場関係者など義理の会葬者に対して、故人のことを伝える良い手段となるからです。
そして、これらの“演出”を可能にしたのは、結婚式場の披露宴会場と同様の設備を備えた葬儀会館の出現によるものでした。
この葬儀会館というインフラの整備によって、“良い葬儀”の証しは、自宅では、僧侶が行う宗教儀礼の完成度、そして、葬儀会館では、もてなしの善し悪しになど会葬者の評価でしたが、現代の家族葬会館では、故人を偲び、故人と家族との最後のコミュニケーションという遺族の満足度と、葬儀に求める価値観が変わってきたように思います。
 

「家族葬」とグリーフケア

家族葬によって、家族が故人との最後のコミュニケーションを十分に取れることは、家族すなわち遺族の悲しみを癒し、遺族が将来に向けて新しい生活に営んで行くためにも良い機会となります。
会葬者が居なければ、周りの目を気にすることなく、十分に感情を表に出すこともできます。
そして、故人との最後のコミュニケーションによって、故人の人生や故人との関係性の中から、故人の死に、何か“意味”を見出すことができるかもしれません。
そういう意味では、「家族葬」は、死別による悲嘆の援助という“グリーフケア”には、良い環境と言えるかもしれないのです。ここで注意したのが、グリーフケアの視点から家族葬のマイナス面です。一つは、家族葬を行うことによって、周りの人たちの援助の手を受け入れる機会を失うということです。
葬儀の場は、ある意味では、会葬者が遺族の立場やその気持ちを理解し、援助を差し伸べる機会となるからです。
そして、もう一つは、葬儀に無宗教的な要素が増え、宗教儀礼を軽視しがちになることです。
最愛の人の死という、大きな精神的な衝撃を受けたとき、宗教心からの“祈り”だけが救いとなる場合もあるのです。その意味では、家族葬をグリーフケアの視点から捉えれば、宗教儀礼という“伝統”と故人を偲ぶ“個性化”のバランスが大切ではないでしょうか。
そして、“家族葬”は、次世代の葬儀形態として進化する可能性を秘めていると思います。

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